「予想よりも遙かに面白かった」
「どこがいいわけ?」
「どこまでも思い悩んで深く沈み込む心。そこからの浮上。その浮上に進化シーンがそのまま来るから、泣けるんだよ。ホントに進化シーンが。ただのバンクなのに」
「良く出来てるわけだね」
「演出にきちんとメリハリがあって、泣けるところで泣けるようにできている」
「でもさ。なぜデジモンtriではそれができるのに、そういうアニメが少ないわけ?」
「今どきの世相には合わないからさ。深い挫折、心の闇を描くことは好まれないのだ」
「じゃあ、なぜデジモンは可能なんだい?」
「おそらく客層が違うからだ。子供の頃デジモンを見て好きだった者達は、普通のオタクとは少し違う。一般人なのだろうと思う。おそらく彼らにはコアオタク層ほどには、挫折の忌避感が無い」
「なるほど」
「温泉を使ったのも良かったと思うな。地域性も適合しているし、話の内容も盛り上がった」
それはさおておき §
「では君のミーハーな感想も聞きたい」
「そうか? そうだな。それを言うならやはりデジモンカイザーの登場が一番良いな」
「そんなに?」
「昔、【なりたいもの、デジモンカイザー】と堂々と書いている人がいたが、まさにそれだけの魅力はあるだろう」
「他には?」
「光子郎のオフィスに集まって菓子食ってるデジモン達とレオモンという絵は面白かったなあ」
「他には?」
「勢い余って報道ヘリを撃墜してしまうチクチクボンバー」
「深い挫折への道ってことだね」
「あとは島根と鳥取の話」
「それにどんな意味が?」
「鷹の爪団の吉田君で人気の島根だが、本格的に描いたのはデジモンの僕らのウォーゲームが先だからな。やはり、島根の本家はこっちだ。その辺をさりげなくアピールしている感じ?」